跡部様の言うとおり
「さー、先輩!次はお笑いライブ行きますよ〜!」
「・・・・おい、静」
分け分からないテンションで自分の手を引っ張っていこうとする広瀬静に跡部圭吾はとうとう呻いた。
といっても不機嫌とは微妙に異なる、なにか戸惑っている感じが強い問いかけではあったが。
なにせ、彼女と一緒にいること自体は全然嫌ではないのだ。
嫌どころかむしろ大歓迎。
というのも、広瀬静は跡部にとってつい先日に行った合同学園祭で出来た可愛い年下の彼女である。
天然炸裂、鈍感上等な彼女をなんとか捕まえて面倒な取り巻きどもも蹴散らして、今日はめでたく付き合いだして初めてのデートである。
・・・・初めてのデートなのだが。
「・・・・なんでお前はさっきからたこ焼き屋だのバンジージャンプだのデザート食べ放題だのと、露骨に他のやつ向けの場所を選ぶんだ、アーン?」
「え?そんなことありませんよ?」
にっこり。
そのまま受け取ればとっても可愛らしい事この上ない笑顔なのだが、これに騙されてはいけない。
というか、さすがにそろそろ跡部も気がついてきている。
にっこり笑った静がその裏で。
「・・・・怒ってんのか?」
「ええ?そんなことありませんよ。」
さっくり否定した静が口許を引きつらせたのを見てしまった。
「怒ってんじゃねえか。」
「怒ってませんってば。」
「じゃあどうして俺から目をそらしやがる。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しばし無言。
そして静は振り返った。
それはそれは「にっっこり」と微笑んで。
「怒っているわけないじゃないですか。何で私が怒るんですか?
公衆の面前でファーストキスを奪われたあげく、好きだとも言われていないのに俺の女宣言をされちゃって、あまつさえ友達にどん引きされたわけでもないのに。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引かれたのか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・引かれました。」
しーん。
心当たり大ありなだけに跡部としても非常に気まずい空気が流れ・・・・・。
「・・・・・・・でも嬉しかったですけど・・・・・・・・」
ぽそっと呟かれた小さな小さな呟きに跡部は驚いて静を見た。
そこには、さっきの不自然な笑顔ではなくて照れたようにはにかんだ笑みを浮かべる静がいて。
「でも先輩があんまり乙女心をわかってないことするから、ちょっとだけ仕返ししたくなっただけです!・・・・ごめんなさい。嫌いになりました?」
「バカか、お前は。こんな可愛い女、嫌いになる奴がいるか。」
「け、圭吾先輩!!」
「いいぜ。どこだって付き合ってやるさ。好きなだけ仕返ししろよ。お前になら振り回されるのも、悪くねえ。」
そう言って笑った跡部に静はしばし見とれて・・・・それから少しだけ悔しそうに言った。
「私が先輩を振り回そうなんて絶対無理ですね。」
「そうか?」
「絶対そうです。」
「じゃあ、諦めて俺に振り回されるんだな。気にするな。絶対に幸せにしてやる。」
「・・・・はい。」
―― 頬を赤くして頷く静が可愛くて、そのまま場所を忘れてキスをしてしまった跡部が再び静の機嫌を損ねてしまうのは、このすぐ後の話。
(あのEDにはびっくりだ・笑)
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ボケとツッコミ 〜あるいはボケとボケ〜
六角テニス部のコートの脇でブツブツと呟いている少女が一人。
「・・・えーっと、ヒカルくんが一人で吹き出した後に、『ダビデ!』で・・・・・」
「・・・・おい、何をしてるんだ?」
「ひゃあっ!?」
あまりの怪しい光景に後ろから恐る恐る覗き込んだ天童ヒカルの声に、少女、広瀬静は飛び上がった。
「な、な、なんだ〜、ヒカルくんかあ。」
「ああ。」
「びっくりした〜。」
「随分熱心に何かしていたな。」
「え?ああ、ツッコミの練習をね。」
「は?」
事も無げに静の言った台詞のヒカルは眉を寄せた。
「ツッコミ?」
「そう、ツッコミ。」
「ツッコミというと、あのなんでもかんでも鍋の中に入れるという・・・・」
「それはぶっこみ・・・・って、あああ!!!」
いつもの流れで会話していた途端に静が頭を抱えたのでヒカルは一歩引く。
「な、なんだ?」
「ひどいよ〜、いきなり振るんだもん。突っ込めなかった〜。」
はあああ、とため息をつく静にヒカルは首を捻る。
「いや、突っ込んでいたと思うが?」
「あんなありきたりのツッコミじゃなくて!」
「ありきたり・・・・」
ツッコミにありきたりとか、ありきたりじゃないとかあるのだろうかとさらに首をひねると、静は少しだけ言いづらそうに言った。
「そうじゃなくて・・・・バネ先輩みたいなツッコミ。」
「は?バネさんのツッコミ?」
「そう。だってヒカルくん、バネ先輩が卒業しちゃってから寂しそうだから・・・・」
自分よりもよほどしゅんっとしてしまった静の様子に、ヒカルはこっそり口許を覆った。
あんな妖しさ満点になりながらも、自分を元気づけるために好きな子がツッコミの練習をしてくれたのだ。
(・・・いかん、だらしない顔になる。)
どうやっても緩む口許をなんとか引き締めて、ヒカルは静に向き直った。
「じゃあ、今度はわかるようにするから、やってみるか?」
「え!?ホント?」
「ああ。あー・・・・・・・・・馬はうまい・・・・・・プッ」
「ダビデ!」
ぽすっ!
威勢の良い声とともに、繰り出される拳がヒカルの胴に当たって・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ヒ、ヒカルくん?」
いきなり頭を抱えて座り込んだヒカルの反応に、オロオロしている静の声が聞こえたが生憎答えてやることはできなかった。
(いや、無理・・・・うっかり顔見たら抱きしめる。)
ここがコート脇でなかったら本能のままに抱きしめていただろうが、生憎ここはコート脇でついでに剣之助達がコートにはいるわけで。
「あの、ごめん。あんなツッコミじゃ駄目だよね?」
「いや、駄目というか・・・・別の意味でダメージだ。」
なんとか顔を上げたヒカルはしみじみとそう呟いたのだった。
(バネさんヴァージョンも書いてみたい)
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これからよろしく!
キャンプファイヤーの少し焦げた匂いと、学園祭の名残のキラキラした空気と。
それからアキラくんの「付き合ってくれ」って言葉と。
それがあんまり嬉しくて、頷いて「よっしゃー!」ってアキラくんがすごく喜んでくれて。
次の瞬間、何故か割れんばかりの拍手。
・・・・その時になって気がついた。
ここってみんなが集まってる広場のど真ん中だったってことに。
「は、恥ずかしい・・・・(///)」
「だーいじょぶだって!」
「大丈夫じゃないよお〜。」
「ええ!?俺、まだ踊れるぜ?」
「いいから〜〜〜〜〜!!」
ちょっと不満そうなアキラくんを引きずってなんとかキャンプファイヤーの環を抜け出した私達を待っていたのは、不動峰テニス部のメンバーだった。
「やったな!神尾!」
「ちょ!やめろよ、石田!」
ぐしゃぐしゃと髪を石田にかき回されて不満そうに言うけど、アキラくん、顔笑ってるよ?
「・・・・たく、あんなところで言うなんてよっぽど自信があったんだな。」
ボソッと伊武くんの呟きが耳にはいると、アキラくんはふんっと鼻をならした。
「うっせー、深司。んなもん全然なかったよ!」
そう言われて伊武くんはちらっと私を見て・・・・「まあ、鈍感だから」ってどういう事!?
え?なんでそこでみんなそろって頷いちゃうの!?
「だが、まあ、上手くいってよかった。広瀬。」
「あ、はい!」
お父さん・・・・もとい、お兄さんのような落ちつきのある橘先輩に声をかけられて私は背筋を伸ばす。
と、橘先輩は深々と頭を下げて。
「ふつつか者だがよろしく頼む。」
・・・・・・・・えーっと・・・・・・・・・・・。
「こ、こちらこそ?」
ちょっと疑問系になってしまった。
「部長〜、それ、何か違うっス。」
笑いながら私の側に来たアキラくんが照れくさそうに私を見下ろす。
なんだかその距離がさっきよりほんの少しだけ近くて。
それがとても嬉しくて、私はアキラくんを見上げて笑った。
「ふつつか者ですが、よろしくね?」
「あ、ああ。こっちこそ、よろしく、だ。」
顔を見合わせて、それさえくすぐったくて私達は笑いあった。
・・・・もちろん、伊武くんの「いちゃつくなら他でやれよな・・・・」って呟きはさっくり無視したけどね。
(不動峰は仲良しだから!)
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・・・・嘘は言ってない。
それどころか120%本気や。
せやから、ちょっとだけ意地悪なんは多目にみてや。
意地悪はどっち?
合同学園祭準備も終盤に入った本会場の一角、広場で忍足侑士は目の前をぽこぽこと一定のリズムで通り過ぎていくぬいぐるみを見ていた。
もちろん、ぬいぐるみが一人で空を飛ぶとかいう怪現象ではない。
ぬいぐるみを跳ねさせているのはテニスラケットで、そのテニスラケットを握って一生懸命バランスをを取っているのは、広瀬静
―― 今回の合同学園祭の氷帝テニス部担当実行委員にして、忍足の想い人である。
いくらアプローチしても暖簾に腕押しなかんじでさっぱり相手にされていないが。
(・・・・天然すぎるんや。)
最初はそれも面白かったが、ここまでくるともはや悩みの種でしかない。
正攻法で攻めるには彼女の気持ちが不透明すぎて不安で、絡めては手詰まり。
ため息ばかりが増える今日この頃ではあるが、やっぱり好きな子には構いたくなってしまうのが性なのか。
今日も少し時間が空いたのだと会議室で本を読んでいた静をラケッティングの練習に連れ出してしまった。
というものの、何事にも一生懸命な彼女はラケットを握った途端に見ているのは球のみ。
(まあ、ビーチボールとか、サイコロとかけったいなもんが多かったんは認めるけど・・・・)
もう少しこっちも見て欲しい、なんてお姫様は一向に気がつかない。
(一生懸命なんは可愛いけどな。)
その一生懸命さで彼女はここまでビーチボールもサイコロもゴールまで運んでしまっている。
ということは、このぬいぐるみもゴールまで運べれば約束の賞品を渡さなくてはいけない。
はあ、とため息をついて忍足はそっと静の後ろに近づいた。
球、もといぬいぐるみを運ぶことに集中している静はそれに気がつかない。
後もう少しでゴールというところを狙って、忍足は声を低めて囁いた。
「頑張ってる姿、かわいいで。」
「!」
ぽろ。
無情にもぬいぐるみはラケットから転げ落ちた。
「あーーーーーーーーー!!!」
「ふふ、残念やったなぁ。」
地面に落ちたテディベアを(本当に誰がこんなぬいぐるみをボール入れにいれたのだろう)抱き上げて叫ぶ静に、忍足は満足そうに笑った。
途端に恨みがましい視線が飛んでくる。
「というより先輩、今のわざとでしょ!?」
(そこまでは気づくんやけどなあ。)
「宍戸先輩ぬいぐるみを渡したくないからやったんですね!?」
「・・・・念のため聞くんやけど、その理由は?」
「宍戸先輩が好きだからでしょ!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たまに俺、自分がかわいそになるわ。」
なんでそこで静の事が好きだから他の男のぬいぐるみなんぞやりたくなくて邪魔したという思考にいってくれないのか。
忍足の悩みは尽きない。
・・・・取りあえず今は。
「動揺したってだけで、脈はあると思っとくわ。」
「え?」
「なんでもない。ほな、キーホルダーな。」
「つ、次は負けませんからね!」
「まっとるで。」
手強い、愛しい鈍感娘に忍足は軽く肩を竦めたのだった。
(忍足のあのセリフは本気でわざとだと信じてます)
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優しそうな言葉と笑顔と、最初に会った時の儚げな印象と。
・・・・でも、本当はとっても強引な人。
二度目の告白
立海大付属中学のテニス部のコートは放課後になればフェンスに群がる女の子で一杯だ。
マネージャーに抜擢された最初こそ驚いた静だか、今はもはや気にならなくなっている。
けれど今日ばかりは少し・・・・否、かなり気になっている。
なにせ今日は。
パシュッ!
鋭い音をたてて幸村のスマッシュが切原のコートに決まった。
「くっそ!」
「・・・・素敵〜」
切原の舌打ちの音と同時にギャラリーから聞こえたため息に、静はまた一段自分の気分が暗くなるのを感じた。
(・・・・精市先輩はいつだって素敵なんだから・・・・)
テニスの試合をしている時だけじゃなくて、部員に指示を出している時も、二人で一緒に帰って別れ際に微笑む時も。
(・・・・でもテニスをしてる時が一番だけど。)
実際、今だって切原を完全にリードして試合を進めている幸村は生き生きとしていてとても目を惹く。
そんな姿をなんでその他大勢の女子の鑑賞物にしなくてはいけないのか。
そんな風に考えて、同時にそんな風に考えた自分に自己嫌悪する。
耐えられなくなったように静が視線を落とした丁度その時、審判が幸村の勝利を告げた。
「・・・・タオル取ってきます。」
わっと部員からもギャラリーからも歓声が上がる中、そっと静は誰ともなく言い訳のように呟いてコートを抜け出した。
そんな静の背中を見ていた人間がいたことなど気がつきもせずに。
夕暮れの近くなった運動部の部室棟は人気がなかった。
もうすぐ部活の終わる時間とはいえ、まだ部員達が引き上げてくるには早い時間だからだろう。
言い訳とはいえ、根が真面目な静は部室で洗ってあった予備のタオルの束をカゴに入れ・・・・それからため息を一つついた。
(あんな風に思うなんておかしい。だって、私は精市先輩の彼女じゃないんだから。)
毎日一緒に下校していても、テニス部の臨時マネージャーになっても、世間的に彼女扱いされていても、静は肝心の幸村の告白にまだ答えを出していなかったから。
(それなのに嫉妬だけするなんて・・・・)
「・・・・バカみたい。」
「どうして?」
「!?」
あるはずのない返事に静は弾かれたように部室の入り口を振り返った。
そしてそこにジャージの上着を羽織るようにして立っている人を見て目を大きく見開く。
「精市先輩・・・・」
「ふふ、目、零れそうだ。そんなに驚かなくてもいいのに。」
「え、あ・・・・な、なんでここにいるんですか?」
「そりゃあ、ね。」
くすり、と口許で笑って幸村は二歩進み出る。
何故かその動きに妙な迫力を感じて静は一歩後ずさった。
けれど確実に縮まった距離で幸村が目を細める。
「一番見ていて欲しい人と、一番かけてほしい言葉のない場所にいてもしょうがないでしょ?」
暗にそれが誰を指しているのかわかって静の心が小さく波立つ。
「それって・・・・」
「君以外にいると思う?」
「・・・・・・・・・・・・・」
諭すような優しい言葉にささくれ立っていた心が少しずつ癒されていく。
そしてそれが。
「・・・っ」
「静?」
目のはじっこからころっと涙がこぼれて、その途端珍しく幸村が戸惑ったような声を出すから。
「ごめ・・・なさい・・・・」
「え?」
「私・・・・私、精市先輩といるほど先輩がすごい人だってわかって・・・・そんな人の隣に私がいていいのかなって迷ってばかりで・・・・それなのに・・・・」
とぎれとぎれに言葉を紡いでいた静の耳の小さくため息が聞こえて、静はびくっとする。
けれど次に聞こえたのは呆れた声ではなくて、とてもとても・・・・嬉しそうな声だった。
「ねえ、静。」
優しい声につられて静が顔を上げると、幸村は静が今まで見たことないほど嬉しそうな顔をして笑っていた。
「俺の事が、好き?」
「え・・・・?」
「俺の事、好きだよね?」
「あ・・・・」
二度繰り返されてやっと言われていることを理解した静はかあっと赤くなる。
そしてしばし間があってから、コクンっと頷いた。
「はい。精市先輩の事、好きです。」
答えた瞬間、静は幸村の腕の中にいた。
からんっと音を立ててタオルのカゴが転がったけれど、今の静はそれを気にするような余裕はなくて。
「せ、せ、せ、先輩!?」
「ありがとう、嬉しいよ。」
耳元で聞こえた言葉と抱きしめている腕があまりにも優しくて、静は驚いて抵抗を止めてしまう。
「先輩?」
「少しね、不安だったんだ。学園祭の時は側にいたいって言ってくれたけど、それからも静はずっと変わらなかったから。好きでいてくれてるとは思っていたけれど、どの程度かわからなかった。」
そう言って幸村は少し静を離すと抱きしめていた手で静の頬を包むようにして覗き込んだ。
「だから静が好きって言ってくれるまでこういう事はしないでおこうって思っていたんだけど、我慢できなくなって少し意地悪したね。」
「え?意地悪?」
「実は・・・・今日、試合を見に来ていてわざとらしく騒いでくれたのってブン太の彼女なんだ。」
「え・・・えええええええ!?」
「夏の強化合宿の時に出会った子なんだけど、なかなか静の気持ちがわからないってブン太に漏らしたら仁王と画策したらしくて。」
「じゃ、じゃあ、私は思いっきり仁王先輩とブン太先輩の策にはまったわけですか!?」
「みたいだね。策にはまって、嫉妬してくれたんでしょ?」
「あ、う〜〜〜・・・・しました!思いっきりしちゃいました!!」
「ふふ」
至近距離でくすくす笑われて静はむうっと眉を寄せる。
「笑い事じゃないですよ。私、本当にへこんで・・・・」
「ごめん、今、浮かれてるから。」
「え?」
「だって、やっと静が彼女になってくれたしね。」
「あ・・・・」
「だから、いいよね?」
少し首を傾けるようにして問われて静は自分が思いきり赤くなっているのを自覚した。
「え・・っと、でももうすぐみんな帰って来ちゃうし・・・・」
「大丈夫。」
「でも・・・・」
「静」
黙って、というように親指で唇をなぞられて思わず静は口を閉じる。
「好きだよ。」
「・・・・もう、このタイミングでズルイです。」
最後の抵抗のように呟いて静はそっと目を閉じた・・・・
(もちろん、立海テニス部メンバーは部室前で待ちぼうけ。)
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